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臨床遺伝専門医・認定遺伝カウンセラーの試験問題解説、臨床遺伝学のまとめ、遺伝性疾患についての情報などを発信します。

認定遺伝カウンセラーになるためには:認定試験とはどんなものか?

遺伝カウンセラーの認定試験はどのような試験なのかというところについて、ご説明していきたいと思います。

 

認定試験の内容

試験は筆記試験と面接試験が行われます。

筆記試験は必須問題(臨床遺伝専門医試験の必須問題と共通)と選択問題(遺伝カウンセリングに関する専門分野の問題)からなり、面接試験は疾患についてのロールプレイを含みます。

 

※前回の試験である、2020年度第16回認定遺伝カウンセラー認定試験は、COVID-19の影響もあり、初めてのWeb開催となりました。

 

順番にご説明していきますね。

  • 筆記試験

筆記試験は臨床遺伝専門医試験と共通している必須問題部分と遺伝カウンセラーのみの問題に分かれています。

 

必須問題の例題を示します。(臨床遺伝専門医制度委員会HPより引用)

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必須問題の例題

このように大体5択の選択問題となります。年度によって、1つを選ぶ形式であったり、正しいものをすべて選択するタイプの形式の年度もあります。最近は1つ、もしくは2つのように選択する数は明示されている傾向があります。

 

2019年度までは解答用紙の解答欄に記載する形でしたが、2020年度はWebテストでの実施のため、問題ごとに解答を選択し、次の問題へ進むという形でした。Webテストについては別の記事で詳しくお話させていただこうと思っています。

 

選択問題は、遺伝医学の知識だけではなく、心理社会的な支援についての内容、カウンセリング技術についての内容なども含まれます。

 

  • 面接試験

面接試験は事前に事例集が渡され、その中から1つの疾患が指定され、その内容についてロールプレイ(模擬遺伝カウンセリング)を行います。

例えば、“遺伝性乳がん卵巣がん症候群”の事例だとすると、遺伝カウンセリングの導入部分と簡単な家系図は分かっている状態でロールプレイを行う状況です。面接官がクライエント役を行い、受験者は遺伝カウンセラーとして遺伝カウンセリングを行います。

 

こちらも2019年度までは実際に面接官の前でロールプレイを行う形式でしたが、2020年度はZoomを用いたWebでの面接となりました。

 

ロールプレイの後は、通常の面接をして終了です。

 

その後、結果が郵送で届くという流れです。

筆記試験の足切りの基準、合格点数、面接試験の採点ポイント、合格率などは明らかにされていません。

 

試験に出願する際に、養成課程で経験した全症例を記載したログブック、20症例を選んで詳しく記載する遺伝カウンセリング記録を提出する必要があります。

こちらの準備がかなり大変なので、現在養成課程に在籍されている方は早めに進めておくことをお勧めします。