臨床遺伝専門医専門医試験・認定遺伝カウンセラー®認定試験対策
これらの試験は受験者が多いわけではないので、試験対策についての記事や情報が見つかりにくいですよね。
今回は、試験対策をどのように行っていくかということについて、私自身の勉強方法も含めて書きたいと思います。ちなみに、私は認定遺伝カウンセラーの資格を持っています。
臨床遺伝専門医の専門医試験と認定遺伝カウンセラーの認定試験は勉強方法に共通する部分が多いと思いますので、どちらの資格を目指されている方にも参考になるかと思います。
筆記試験
まず、筆記試験対策についてです。
- 過去問
最初はまず過去問を入手しましょう。臨床遺伝専門医制度委員会、認定遺伝カウンセラー制度委員会のどちらのHPからでも入手できます。CDに収録されており、1枚3000円で販売されています。こちらには過去問がすべてと、過去の遺伝医学セミナーの模擬試験問題が含まれます。
過去問を見て、どのような形式で問題が出題されるのか、どのような範囲が多いのかなど傾向をつかみましょう。
- おすすめの書籍
勉強をしていく中で、参考になる書籍をご紹介します。
11,000円
遺伝医学を勉強される方の中で、もっていない方はいないのではないかと思うくらい必須の書籍です。遺伝医学について網羅されており、こちらを完璧に頭に入れていれば試験は確実に合格します。(完璧に頭に入れられたら苦労しません!)
試験までたっぷり時間がある方はまとめノートなどを作りながら知識を整理するのもよいかと思いますが、そうではない方は試験問題を解いて分からなかった分野について勉強する辞書的存在として活用するのがよいと思います。
5,060円
トンプソン&トンプソン遺伝医学と併用することができます。こちらは、講義形式でトンプソンの内容を解説する内容となっています。こちらで勉強をし、もっと知りたいと思ったときにトンプソンを参照するといった使い方もよいかもしれません。
5,500円
こちらは、300以上の遺伝性疾患の病態、原因、再発率、臨床像、遺伝カウンセリングのポイントなどがまとめてある辞書のような書籍です。そのほか、総論として家系図の記載方法や再発率の計算方法なども載っています。
私自身は家系図の記載に迷った際にはこの本で確認し、初めて聞く疾患があった際にはまずこの本で調べています。
過去問を解いていると、知らない疾患が選択肢に出てくることもあります。その時に遺伝カウンセリングマニュアルで疾患の概要を把握するのに役立ちます。試験を受けない方でも、遺伝医療に関わる方は必携だと思います。
・遺伝カウンセリングのためのコミュニケーション論‐京都大学大学院医学研究科遺伝カウンセラーコース講義
5,500円
こちらは、遺伝カウンセリングの教科書的存在の本です。京都大学の遺伝カウンセラーコースで行われている講義内容をブラッシュアップし、まとめられています。遺伝医学の知識は上記で紹介したような様々な本で勉強できますが、カウンセリングの理論、コミュニケーション論、倫理的側面など、様々な医師や遺伝カウンセラー、その他の職種によって執筆されています。
こちらの本は筆記試験(特に遺伝カウンセラー専用問題)だけでなく、面接試験のロールプレイの対策としても役に立つのではないかと思います。
- 勉強方法
私は、まず過去問を数年分解いてみて撃沈し、その後よく出題される単元について自分なりにまとめノートをつくりながら知識を整理しました。
その後、過去問を解きながらそのまとめノートに過去問で出てきた知識などを追記していき、すべて一冊のノートにまとめていきました。
遺伝医学は発展が早いので、最初の方の年度の過去問の内容は、すでにもう変わってしまっていることもしばしばあります。
そのため、過去問の内容をそのまま暗記するのではなく、今はどうかな?というところを常に疑問に思いながら調べた上で暗記していくことが重要だと思います。
試験対策として覚えておくとよいのは、様々な“数字”です。
- 指定難病の数
- 小児慢性特定疾病の数
- OMIMに登録されている疾患数
- 保険収載された遺伝学的検査の数
- ヒトの細胞数
- ヒトの遺伝子数
など挙げたらきりがありませんが、このような数字は試験に出やすいです。また、聞いたことがあるような数字を間違った選択肢の誘導として使っていることもしばしばです。
面接試験
次に、面接試験についてです。
面接試験はロールプレイと通常の面接の2つから成ります。通常の面接は人によって聞かれることが違うと思うのでここでは割愛し、ロールプレイについてお話します。
臨床遺伝専門医の場合には4つ程度の疾患から事前に選択できます。ほとんどの方が自分の専門分野を選択されるかと思いますが、違う分野を選択してももちろん構いません。遺伝カウンセラーの場合には、事前に事例集が配布され、そこからランダムに事務局によって疾患が指定されます。
つまり、臨床遺伝専門医は事前にその疾患だけ対策を行えばよいですが、遺伝カウンセラーの場合は事例集に載っている疾患すべての対策をする必要があります。
私は、事例集に載っている疾患について、遺伝カウンセリングをする上で知っておくべき情報、伝えるべき情報をまとめました。また、実際にどのような流れで遺伝カウンセリングをするのかをイメージし、想定される質問への答えなども用意していました。
あまり用意しすぎても、その流れどおりにやらないと!と思ってしまうので、箇条書き程度に情報提供内容を用意しておくとよいかと思います。
ロールプレイの試験では、情報提供の内容が正しいかどうかはもちろんですが、あいづちの仕方や質問の仕方、心理社会的な支援、話の間など、様々な観点で判断されていると思います。(面接の採点基準は公表されていないので正確には分かりません。)
そのため、情報提供だけにとらわれすぎるのもよくありません。面接官が様々なタイプのクライエントを演じます。それに合わせて対応できるよう、実習などで実際に経験を積みながら自分なりの遺伝カウンセリングを考えましょう。
ロールプレイは一人で練習するのは難しいと思います。GCRPなどの各種セミナーに参加したり、友人、職場の方などと練習することで慣れていけると思います。